お嫁入り菓子 [茶道の周辺]
直島 さぬきに伝わるお嫁入り菓子です。
「おいり」
もち米からできていて、口に入れたとたんにっきの香りだけ残して消えてなくなります。
美術館大好きな大学生が、おみやげとして持ってきてくれました。
幸せな色。
俊成の手紙 [茶道の周辺]
先日小間の茶室で、藤原定家の父、俊成の手紙文を仕立てたお軸の間近に坐る機会を得ました。
その手紙文は、後鳥羽院がご要望になった文机の制作を、院にかわって俊成が木具師に伝えた実務的な注文書でした。
注文書には、文机の寸法、筆返しはいらない、といった希望が端的に記され、
それと合わせて、院の文机のコピーを決して製作することがないように、との厳しい確認の一言が添えられていました。
家具製作の注文は、建築の設計をしていれば、とても身近な事柄です。
ほの暗い茶室のなかで一瞬、俊成という人の気配、息遣いが感じられたように錯覚しました。
その手紙文は、後鳥羽院がご要望になった文机の制作を、院にかわって俊成が木具師に伝えた実務的な注文書でした。
注文書には、文机の寸法、筆返しはいらない、といった希望が端的に記され、
それと合わせて、院の文机のコピーを決して製作することがないように、との厳しい確認の一言が添えられていました。
家具製作の注文は、建築の設計をしていれば、とても身近な事柄です。
ほの暗い茶室のなかで一瞬、俊成という人の気配、息遣いが感じられたように錯覚しました。
単衣のおわり。 [茶道の周辺]
9月の終わりに藤色の単衣を着たあと、
「今年は暑い、もう少し単衣を着ていようかしら」
と思っていたけれど、10月にはいるとやはりすっかり秋でした。
あっという間に日が暮れるし、夜明けもずいぶん遅くなりました。
茶箱で野点 [茶道の周辺]
秋の木陰で、野点をしました。
普段使いの茶箱。
石ころと枝で即席に作った結界の向こうには水面が午前中の光を反射して光っていました。
小高いところでさわやかな空気を吸っているだけでありがたい。
着物の染め直し [茶道の周辺]
8月の初めに京都に行ったついでに、京都の呉服屋(悉皆屋)さんに、白生地のままの着物と帯の染めと仕立てをお願いしました。
新しい反物の染めと一緒に、亡くなった祖母の着物の染め直しと仕立て直しもお願いしました。
小柄だった祖母の着物なのでいったんすべてほどいて、色を抜いてシミも抜いてもらうように頼んで帰りました。
色抜きが済み、ほどけた着物地が一巻きになって、週末に、色見本と一緒に送られてきました。
これから裄を出し身丈も伸ばしてもらいます。
色は、青磁色から墨色に染め変えます。
金銀の箔が鮮やかに浮き立って、着物が生き返るに違いない。
ひとつひとつ微妙な色を探り、ぼかし具合を考え、柄を考え、寸法をおさえ、という細かい検討作業は、建築の設計とよく似ています。
着物の仕立てなおし、染め直しは、まさに建築の改修工事、リノベーションです。あけてみなければわからない部分が残るところも。
先日、社寺建築の大工さんが口にした言葉が思いだされました。
古来からの木造の建造物は、ほどける技術で仕上がっているのだ、と。
「建築が、ほどける。」
一見無理に見えるものも、ほどけるから、なおる。
そうしてまた生きてゆくのだと。
ほどいて直す仕事。
地味で丁寧できれいで幸せ。
雪のような和菓子 「越乃雪」 [茶道の周辺]
長岡の和菓子「越乃雪」です。
大学生のお嬢さんが今日の七事式の稽古にと持ってきてくれました。長岡に帰省した大学の友人にぜひ、と頼んで買ってきてもらった、と。
一辺2センチ弱の矩形で、指に少し力を入れると、くずれるほどの繊細さです。
雪よりももっとはかない印象で、美しい。
口に含むとさらさらと形がなくなるのが心地よい。
絶品です。
茶道のくぬぎ炭を切りました [茶道の周辺]
茶道に使う椚の「道具炭」を切りました。
「炭」にも夏の風炉用と冬の炉用の区別があって、寸法も異なります。これから夏にかけて風炉用の炭が要ります。
まず、用意したカット前の長い丸椚を、名称、用途の違う数種類の炭の山に仕分けをしました。それぞれに決まっている基準の太さ、長さに合うものを探し出し、切り出せる量と必要な量とを見極めながらの仕分けです。微妙な太さの炭は案外悩みます。
それが済んで、カット開始。
扱いを時々調整しながら、黙々と切り、ときどき腰を伸ばし。
ときどき失敗も。ぼろ、と炭が割れたり角が崩れたりします。
約4時間かかって12㎏の炭を切り終えました。
軍手をはめていたのに、手の爪の間まで真黒です。顔も黒い炭の粉がつき、帽子をかぶっていてもやっぱり日焼けです。うなじがちょっと熱い。またやってしまいました。
一碗の抹茶が一層味わい深いのは、お天道様のもとでのこんな作業もその中に含まれているから。
炭切りの作業は単純に楽しくもありますし。
お茶は楽しい。